妊婦健診で風疹の抗体価は大丈夫?風疹の正しい知識と予防法を解説

医療

妊婦健診をしていると、やっぱり風疹の感染を心配される方は多いですね。最近も、妊娠初期の採血で風疹抗体価が上がっているので、大丈夫だと思うけどもう一度採血しましょう。の様な会話をしたばかり。怖がらせてしまって申し訳ないけど、しっかり確認して安心させてあげることが大切だと思います。

今回は先天性風疹症候群について書いていきたいと思います。どんな感染症なのか、どうやって妊婦健診で診断されるのか、予防はどうするのか、などを患者さんにお話しする感じでまとめておきますので参考にしていただけたら幸いです。

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先天性風疹症候群とは

まず、感染症の中には胎盤を通して赤ちゃんに感染して後遺症を残してしまうものが存在し、
それぞれ病原体の頭文字を取ってTORCH症候群と呼ばれています。

T: Toxoplasma gondii:トキソプラズマ
O: Others:梅毒、水痘・帯状疱疹ウィルス
R: Rubella virus:風疹ウィルス
C: Cytomegalovirus:サイトメガロウィルス
H: Herpes simplex virus:単純ヘルペスウィルス

思わずOthersじゃ頭文字の意味ないやん!ってツッコミたくなるようなネーミングですが、仕方ない。
どれも1度は耳にしたことのある感染症かもしれません。風疹はこの中のRのRubella virusに該当し、妊娠初期の風疹罹患は、赤ちゃんの白内障先天性心疾患難聴などを引き起こす先天性風疹症候群の原因となります。

風疹の診断

症状

まず、問診で過去3か月に風疹患者とあきらかな接触や、風疹様症状(発疹、発熱、頸部リンパ節腫脹)があった場合には風疹感染のハイリスクと判断します。場合によっては、採血などを行い感染の確認をしていく必要があります。

風疹抗体価

妊婦健診では、症状やリスクの有無にかかわらず、妊婦全員に初期の採血で風疹抗体価(HI)を測定します。そうすることで見逃しのないように感染した可能性のある人を引っ掛けていきます。

風疹抗体価が16倍以下と低い場合、抗体が少なくこれからかかる可能性があるため予防を徹底してもらいます。
風疹抗体価が256倍以上と高い場合には、最近の感染抗体をたくさん持っているだけなのかを判断しなければなりません。

そこで感染の診断には、もう一度風疹抗体価(HI)を測定+風疹抗体価IgM抗体価測定を行います。これらを採血してその推移をみていくことが診断に有用です。
本当に最近感染した場合、体は風疹を排除するために抗体をどんどん作って対応します。そのため抗体価が上昇していきます。また、IgMは感染の初期に作られて徐々に下がっていく性質があるため、最近の感染であればIgMも上昇してきます。
つまり、抗体価が上昇(4倍以上)し、IgMが陽性化した場合は風疹罹患の可能性が高いと判断することができるのです。

疑いが強ければ、高次医療機関で先天性風疹症候群の兆候がないかどうかを確認しながら、羊水や臍帯血、新生児咽頭ぬぐい液、新生児唾液などから確定診断を行うこととなります。

風疹罹患を防ぐために

風疹抗体価が256倍以上で追加検査が奨励されていますが、妊婦健診の初期検査はあくまで見逃さないようにする検査です。なので、引っかかっても最終的には問題なし、となることがほとんどですので、
もし再検査になっても必要以上に心配しないでください。

予防方法

しかし、万が一風疹に感染してしまった場合、治療法がないのも事実です。なので風疹感染症は予防が本当に重要となります。

妊娠を考えたときから、抗体が少ないもしくはわからない方は、まず予防を徹底してください。感染経路は咳やくしゃみなどの飛まつ感染とウイルスが付いた手で口や鼻に触れてしまう接触感染なのでコロナと同じ対策と思っていただいて大丈夫です。また、人混みや風疹罹患者との接触は避けるようにしましょう。

ワクチン接種

風疹ワクチンは妊娠中に接種ができないので、次の妊娠時に感染しないため、そして感染を広げないために、出産後のワクチン接種をお勧めします。また、家族で抗体を持ってない人がいたらワクチン接種してもらいましょう。

おわりに

注射1本で生まれてくる赤ちゃんの人生を守ることができる。想像してください。僕ら一人ひとりのワクチン接種が、巡り巡って誰かの人生を救うことになります。ワクチンにはロマンがある。そう感じてワクチン接種に協力いただきたいと切に願います。

参考文献
産婦人科研修の必修知識 日本産婦人科学会
産婦人科診療ガイドライン2020 日本産婦人科学会

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