産褥熱について解説!産後の腹痛と発熱、放置しないで必ず相談を!

医療

長かった妊娠。出産を終えていざ退院!やっと家に戻れる!数日後、おなかの痛みが徐々に強くなり歩いてもひびくようになった。寒気震えが出現し、熱を計ったら39℃の熱。しかし、処方してもらった痛み止めを飲むと痛みは消えて、熱も下がっていい感じ。「後陣痛かな?」「疲れてるからかな?」とか「ロキソニン飲めばおさまるし大丈夫だろう」

などどと侮って考えていると危ないかもしれません。今回は臨床の現場でも度々問題になる産褥熱について、診断方法や早期発見のために注意すべきことなども解説していきたいと思います。

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産褥熱とは

定義

産褥熱は分娩終了24時間以降、産褥10日以内に2日以上38℃以上の発熱が続くものと定義されています。産後の変化に伴って発生した骨盤内感染症です。

症状

発熱腹痛子宮の圧痛、悪露の悪臭。子宮の収縮が悪く(子宮復古不全)、悪露が出ずに溜まっていることが多いです。腹痛の出現前に悪露がピタッと止まっていたら怪しいかもしれません。炎症の波及で下痢・嘔吐を伴うこともあります。

原因菌

ブドウ球菌、連鎖球菌、腸内細菌、嫌気性細菌、クラミジア。最近では薬剤耐性菌の出現が問題になってきています。

リスク因子

  • 分娩時の感染(前期破水、細菌性腟症、絨毛膜羊膜炎、遷延分娩、早産、死産)
  • 帝王切開
  • 産道内・子宮内操作(胎盤用手剥離)
  • 易感染状態(低栄養状態、糖尿病、自己免疫疾患、免疫力低下、ステロイド内服)
  • 器質的要因(子宮筋腫、子宮腺筋症、胎盤遺残)

上記があると産褥熱を発症する可能性が高くなりますが、直接的な原因は不明な場合が多いです。

分類

感染がどこまで及ぶかで細かい言い方があります

  • 産褥子宮内膜炎・附属器炎→子宮や卵巣、卵管の炎症
  • 産褥子宮傍組織炎→子宮の周りまで波及
  • 骨盤内膿瘍→膿を形成
  • 腹膜炎→腹膜に波及
  • 敗血症→菌が血液に侵入増殖している状態でかなり危険

治療

感染がどこまで広がっているか、膿瘍を作っているか治療が変わってきます。

軽症~中等症→抗菌薬の内服(セフェム系、ペニシリン系、ニューキノロン系)
中等症~重症→抗菌薬の静注(第3世代セフェム、広域ペニシリン、カルバペネム系)

そして、何よりドレナージ(排液)
悪露の貯留があれば、管を入れて排液+子宮収縮薬
骨盤内に膿瘍ができてしまっていたら、穿刺吸引や開腹洗浄ドレナージを検討

早めであれば抗菌薬の内服だけで治療が可能なことが多いですが、感染が波及してしまうと、入院、最悪手術ということにもなりかねない疾患です。我慢せず早めに受診し適切な治療を受けられるようにしましょう!

おわりに

産後の発熱や腹痛は、鎮痛薬を頻用することで重症化するまで気づかれにくいことがあります。また、今回は産褥熱の話ですが、この時期に発症した虫垂炎(俗にいうモウチョウ)なども診断されにくく、腸に穴が開くまで重症化してやっと気づかれることもしばしばです。僕も1人経験し、その褥婦さんは当日緊急開腹手術となりました。

「陣痛と比べれば全然我慢できます!」という考え方は非常に危険なのでやめてください。特に痛みが日に日に悪化する場合や、38度を超える発熱がある場合は早めに受診相談しましょう。
参考にしていただけたら嬉しいです。


参考文献
産婦人科研修の必修知識 日本産婦人科学会
産婦人科診療ガイドライン2020 日本産婦人科学会

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