妊娠中に甲状腺機能異常を指摘された!甲状腺の検査や診断、治療について解説

医療

甲状腺機能に異常がある!?最近は不妊治療をする方も増えたせいか、甲状腺の機能異常を指摘される方が増えている気がします。全然症状もないし、採血取ったら異常って言われた。なんか薬だされたし不安、、、

そんな方々のために、今回は甲状腺疾患合併妊娠についてまとめみました!参考にしていただけたら嬉しいです。

スポンサーリンク

甲状腺とは

そもそも、甲状腺って聞いたことあるけど、、、何それ?って方も多いと思います。心臓、肺、子宮とかと比べるとマイナーな臓器ですよね。僕も正直、医学部受験の前までは知らなかったです。
甲状腺は首の気管の前にある臓器です。蝶のような形をしてます。機能としては全身の活動性をコントロールする働きがあり、車のアクセルのような働きとよく例えられます。

この甲状腺の異常でアクセルをコントロールできないと

  • 安静にしてても体は全力疾走した後のような状態
    心臓がバクバクして、汗が出る、イライラする、食べてるのに痩せていく
    甲状腺機能亢進
  • アクセル全開で走りたいところも、ちょっとしか踏み込めない状態
    活動できない、心臓がゆっくり、寒がり、やる気がでない、食べないのに太るなど
    甲状腺機能低下

といった症状が起きてきます。

検査

甲状腺機能異常を疑ったら甲状腺刺激ホルモン(TSH)甲状腺ホルモンである遊離トリヨードサイロニン(free T3)遊離サイロキシン(free T4)を測定します。
名前のとおり、TSHが甲状腺を刺激して、T3,T4が分泌される仕組みです。

細かいことを除いて、

  • TSHが低値(TSH<0.1)、T4(T3)が高値(出す必要ないくらい出てる)
    甲状腺機能亢進症
  • TSHが高値(TSH>20)、T4(T3)が低値(出そうとしてるけど出てない)
    甲状腺機能低下症

と診断します。*TSH正常値0.2~4.5

さらに、甲状腺の機能異常がある場合、原因として、自分の甲状腺に作用してしまう抗体(自己抗体)が存在する場合があります。
代表的なものとしてTRAbTSAbTSBAb)、抗TPO抗体サイログロブリン抗体などを測定します。これらの抗体がある場合、胎盤を通過して直接胎児に影響を与えることがあるので、より注意深い観察が必要となります。

ここからは亢進症と低下症それぞれみていきます。少し専門的な内容になりますがご了承下さい。

甲状腺機能亢進症(Basedow病)

妊娠が甲状腺疾患に及ぼす影響

妊娠初期に増悪(hCGの甲状腺刺激作用)
→中期から末期で改善(妊娠中は胎児を攻撃しないように免疫が下がる→抗体減少)
→産後増悪

母児に対する影響

予後は甲状腺機能のコントロールとよく相関します。未治療で、コントロール不良の場合、

  • 流早産、死産
  • 妊娠高血圧症候群
  • 子宮内胎児発育遅延
  • 児の甲状腺機能亢進症

などのリスクが増加します。

治療

抗甲状腺薬のプロピルチオウラシル(PTU、プロパジール)を使用します。
チアマゾール(MMI、メルカゾール)は先天性皮膚欠損の報告あり初期は避けた方が無難です(コントロール不良例では使用することもある)。
初期には2週間ごと、それ以降は4週間ごとを目安に甲状腺機能をチェックし、free T4(T3)が正常上限付近を推移するように投与量を調節します。

甲状腺クリーゼ

分娩を契機に高度の甲状腺中毒症に陥ることがあります。体温の異常上昇、循環虚脱、高度の脱水で死に至る場合もあり、検査結果を待たず速やかな治療介入が必要です。

治療

  • 抗甲状腺薬、ヨード剤の投与
  • βブロッカー投与(プロプラノロール持続点滴)
  • 体温コントロール(アセトアミノフェン)
  • 副腎皮質ステロイド投与(ハイドロコルチゾン)

甲状腺機能低下症

妊娠が甲状腺疾患に及ぼす影響

妊娠中に改善(妊娠中は胎児を攻撃しないように免疫が下がる→抗体減少)
→産後増悪

児に対する影響

甲状腺機能のコントロールと相関します。未治療で症状のある場合、

  • 流早産、死産
  • 妊娠高血圧症候群
  • 子宮内胎児発育遅延
  • 児の甲状腺機能低下症

治療

レボチロキシン(チラージン)を50~100ug/dayで投与開始しTSHを指標に調整します。
初期TSH<2.5uU/ml、中期TSH<3.0uU/ml、後期TSH<3.5uU/mlを目安とし、
もともと飲んでる場合は妊娠前半で補充量を1.5倍に増量します。
4週間ごと(用量変更後は2週間ごと)くらいで甲状腺機能をチェックします。

おわりに

マイナートラブルとして指摘されることも多い甲状腺機能異常ですが、上記のようなことを考えながら診療していることを少しでも知っていただき、もらった検査データを「へー」って感じで眺めていただけたら嬉しいです。

今回は医療者側がどのように考えて治療するか、という部分の説明が多くなりました。産婦人科医の中でも甲状腺は若干取っつきにくい分野でもあるので、若い産婦人科の先生にも役立つかなと思います!参考にしていただけたら嬉しいです!

参考文献
産婦人科研修の必修知識 日本産婦人科学会
産婦人科診療ガイドライン2020 日本産婦人科学会
ワシントンマニュアル メディカル・サイエンス・インターナショナル

コメント

タイトルとURLをコピーしました